スポーツマンガでは、そのスポーツの魅力・面白さをズバリ言い当てるような名言(パワーワード)が生まれたりします。5回に渡り「スポーツの魅力を言い得たマンガの名言(パワーワード)5選」として紹介していきます。
第2回の今回は、あだち充先生の野球マンガ「H2」からです。
スポーツの魅力を言い得たマンガの名言(パワーワード)5選 ②【野球】” タイムアウトのない試合のおもしろさを教えてあげますよ。 ” -H2 2巻:国見比呂-
主人公・国見比呂は中学地区大会の優勝投手。しかし、ヒジを壊し野球を断念、野球部のない千川高校に入学し、サッカー部に入部した。しかし、千川高校には野球愛好会が存在していた。話の流れで野球愛好会VSサッカー部の野球対決が始まった…
サッカー部として先発出場する比呂。サッカー部は学校の中でも運動神経の良い人材が集まった部活、対して野球愛好会は「野球が好き」というだけの学生たちの集まり。勝負はサッカー部が圧倒し、一方的なワンサイドゲームになっていった。試合の得点差はともかく、野球をバカにしたようなプレイに走るサッカー部に怒りがこみ上げてくる比呂。8対1と大差がついたところで比呂はサッカー部を退部し、野球愛好会に入会する。
満塁のチャンスで代打で起用された比呂。サッカー部キャプテンは「この試合は終わりだ」と言うが、比呂は「野球は最後の3アウトを取るまでは決まらない」というと、満塁ホームランを放つ。
” タイムアウトのない試合のおもしろさを教えてあげますよ。 ”
8対5。野球愛好会の反撃が始まる…
どんなに点差があっても、逆転の可能性があるのが野球
確かに野球って最後の3アウトを取るまでは、どんなに点差がついていても負けは確定しないですよね。コールドが無ければ、9回裏に100点差がついていても、まだ逆転勝ちの可能性はあるんです。(他のマンガで100点差がつく野球マンガがありましたが…)
タイムアウトが無いだけならテニスもそういう部分あると思いますが、得点の上限があるから絶望的な点差という感じではないです。サッカーやバスケットなどは1点取るのにも物理的に時間がかかるから、大量点差がついて残り時間僅かだと、例え相手が全員疲労困憊で動けなかったとしても逆転は出来ないです。タイムトライアルの競技はそもそも時間制限の中で戦っています。何点差がついていても結果は分からないというスポーツは野球くらいなのだと思います。
” タイムアウトのない試合のおもしろさ ”
正に野球の本質的な面白さをシンプルに説明した名言(パワーワード)です。
あだち充先生の野球マンガはドラマ重視の感が強いので、いわゆる「熱血野球マンガ」とは違うノリが多いです。「H2」もこのタイプだとボクは思うのですが、そういう作品からスポーツの本質を射ぬく名言(パワーワード)が生まれるところに、底知れないセンスを感じます…
「H2」とは
あだち充先生の野球マンガは初期作「ナイン」や、代表作「タッチ」、それに「クロスゲーム」、現在連載中の「MIX」と結構多いです。その中でも「H2」は最長の34巻(小学館 少年サンデーコミックス版)を掛けた作品です。作者自身「ちゃんとした野球を描く」意識があったという記述もあるので、割と野球要素は多めです。ですが、「H2」のタイトルが示す通りヒーロー2人、ヒロイン2人のそれぞれのH2で4人の恋愛を描くことがストーリーの中心であり、見どころと言えます。
今回の記事を書くにあたり、再度全巻をじっくり読みなおしたのですが、難解なんですよね。最後の最後、ライバル橘英雄との対決を終えた後の比呂や他の主要3人のキャラクターの心情が、よく読み解けていないです。ですが、正解をマンガ内で示さず想像させる、というのもあだち充先生のマンガの醍醐味でもあると思うので、そういう部分も含めて楽しみたい作品です。
「H2」は1995年にTVアニメにもなっているのですがU-NEXTで配信中のようです。今回の記事で興味が出て来た方は是非、観てみて下さい。(※本ページの情報は2020年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。)
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